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探究から見つけた自分の人生の”セイカイ”

プロフィール

ringo company 代表 榊裕美さん
福島の水産業の現状を知る探究活動の様子

以前探究の授業をして頂いたnote記事はコチラ↓

はじめに

自分が持ってるもの、経験したことを活かし、子どもたちと未来を創りあげるお手伝いをしている ringo company の榊裕美さん。
つながりを広げる榊さんのストーリー、ぜひご覧ください。

取り組み・仕事のきっかけ

私は学生の頃から将来、教育など、子どもたちと関わることをしたいなと思っていました。
特に私は青森県出身ということもあり、農業や水産業などの一次産業に興味がありました。
そこで子どもたちに地域の一次産業、なかでも、生産現場の面白さや生産者のカッコよさを伝えたいと思っていましたが、そのようなことができる理想の会社がなかったので、自分で取り組んでいたことが今の仕事につながっています。
子どもにとって環境とはとても大事なもので、大人の言葉かけや見せる景色によっって何色にも染まります。
その色がとても素敵なものに映れば、子どもたちもワクワクする未来に突き進むと思っています。
みなさんは自分の住んでいる地域の一次産業についてどれくらい知っていますか?
実はあまり知らない人の方が多いと思います。
私は、子どもたちに「カッコイイ」一次産業の現場や生産者のことをもっと知ってもらうことで子どもたちに興味を持ってもらい、私が想像できないような未来を子どもたちと一緒に創っていきたいなと思います。

本校の「探究Ⅰ」で授業もしてくださった榊さん

仕事・取り組みの内容

私は現在、フリーランスとして活動をしています。自分がやりたい仕事はどんどん引き受けているので、現在関わっているいくつかの取り組みをお話しします。

(1)人材育成・一次産業のコーディネート
相馬市の農業・農地の復興を目的として小学校で授業をしています。子どもたちに地域の一次産業について知ってもらいたいと、授業や放課後に農業体験を行う活動をしています。
また、大学生や高校生が一次産業の現場に入ってインターンを行う際のコーディネートやサポートなども行っています。
(2)一次産業のサポート
農家さんが農業に興味を持ってもらうために行うイベントのチラシを作成したり、経理などの事務作業を手伝ったりしています。
また、学生が農業体験で感じたことから生まれるイベントについて一緒に考えることもあります。
学生視点での考えや学生とのつながりによって、農家さんが自分の仕事の価値を見直すきっかけにもなります。
(3)高校の探究の授業や先生のサポート
学校と地域の間には、お互い「もっと近づきたいけどよくわからない」ような壁があると思います。
総合的な探究の時間を通じてそのネットワークができるよう、私は地域と学校の間に立って、地域と学校をつなぐお手伝いをしています。
(4)マイプロジェクト福島事務局としての活動
福島県での高校生がプロジェクトを立ち上げたり磨いたりするイベントの設計運営や、参加者募集などを行っています。    
  
  マイプロジェクトって?
  マイプロジェクトとは、「主体性」をもって、つくりたい未来に向けて「アク
  ション」を行っていく、学びのプロセスです。
  そのプロセスを通して、自分自身の興味関心の発見や、他者との協働、社会の
  価値発見・創造に向かう姿勢が育まれます。
  10代のうちに正解がない中で試行錯誤し、探究することで、不確かな時代の
  中でも未来への創造力が引き出す取り組みです。

  マイプロジェクトのホームページはコチラ↓

私の興味・関心のあることに全力で取り組んできた結果、様々な人が繋がり、それがお仕事につながっているのだと思います。

本校生がマイプロジェクトアワードに参加している様子

探究についてどう思うか

「探究」は自分の興味・関心を見つけることができる時間だと思います。「探究」をやったからといって、やりたいことが簡単に見つかるものではありません。国数英理社の5教科には必ず正解がありますが、「探究」には正解がないからです。今まで正解があることが普通だったみなさんにとって「探究」は少し難しいと感じる人も多いと思います。
しかし、皆さんはこれから自分の人生の正解を自分で見つけていかなければなりません。その正解は誰にもわかりませんし、皆さんが自ら創り上げていくものです。「探究」は様々な問題を自分ごとで考え、自分だけが生み出した正解を創り上げるとても良い教科だと思います。
また一般的な教科はテストの点数で決められてしまいますが、探究はやっていく過程が重要視されます。皆さんの人生も日々探究のようなものですね。
「探究」では様々な経験や体験をして「おもしろい」や「つまらない」を正直に感じ、それに”なぜ”をつけることがとても大切です。”なぜ”「おもしろい」のか、”なぜ”「つまらない」のか。自分が感じたことをそのままにせず、”なぜ”を深掘りすることができれば、自分が本当にやりたいことが見つかるきっかけになるかもしれません。

高校生に戻ったとして「探究」の授業があったらどういう人に出会いたいか

具体的に出会いたい人はいません。それは今、自分が行動して出会いたい人に出会えているからかもしれません。
私が高校生の頃を振り返ると、なんの特徴もない普通の高校生でした。スポーツや勉強ができるわけでもなく、興味のあるものもありませんでした。自分のやりたいことがないことにコンプレックスすら感じていました。
周りからは選択を迫られる状態で決めるしかない環境(進路など)。本当にその選択は自分で決めたものだろうかという考えが常にありました。
この記事を読んでいる高校生も、そのような環境にいる人がいるかもしれません。そんな時は先生や親などの身近な大人ではなく、勇気を持ってたくさんの大人に出会うことが大切です。その他にも様々な考え方や価値観、選択肢が広がると思います。記事を読んでいる皆さんも、たくさんの人と出会って自分の興味・関心を見つけてみてください。

高校生に戻ったとしてチャレンジしたいこと

私が高校生に戻ったとしてもチャレンジしたいことはありません。それは今の自分が興味のあることに夢中になれて、チャレンジし続けているかもしれません。
みなさんは今の自分に満足していますか。私が高校を卒業する頃は高校生のうちにもっと勉強すれば違う大学に行けたかもしれないという後悔もありました。
けれど、その過去があったからこそ、今の自分があると思っています。結果論と言ってしまえばそれまでなのですが、チャレンジには失敗と反省がつきものです。チャレンジを続けていくことで成功につながっていきます。
高校生の皆さんにはどんどんチャレンジしてほしいなと思っています。
失敗や反省はたくさんしてほしいですが、そこでアクションをやめてしまって後悔だけはしない人生にしてください。

進路選択で大切なこと

進路選択で大切なことは、後悔しない選択をすることだと思います。
後悔しない選択とは、私は、自分で選択することが後悔しない選択だと思います。
先生や親の言うことを参考にするのは良いですが、意見を鵜呑みにしてそれをそのまま自分の選択にすることはしないでください。
みなさんには、自分の人生を自分で決めることを大切にしてほしいです。
高校生の時期は、子どもと大人の狭間にいる時期だと思います。将来のことに向き合い、不安になることもあるかもしれませんが、みなさんは「自立」は人でなんでもできることだと思っていませんか。
なんでも1人でできる人なんて、この世に1人もいません。自分だけでは解決できない問題にぶつかったとき、頼れる人がいることを「自立」というのだと私は思います。
進路選択において、気軽に相談できる、頼れる人がいるということはとても大事なことです。
確かに同年代の友だちも大事ですが、様々な意見を多面的・多角的に伝え、自分の相談に真摯に向き合ってくれる大人や先輩に出会うこと。それが進路選択をするうえで重要だと思っています。そんな機会やチャンスがあるのも、探究の授業かもしれませんね。

つながりはどんなところから生まれると思うか

人と人が互いに思いやる気持ちがあれば、つながりは生まれると思います。お店屋さんや通学路、学校など、人との出会いは世の中にたくさん溢れています。その時に「この人にまた会いたいな」と思ってほしいし、私は思わせたいです。
私も「また会いたい」と思う人に会いに生き続けています。その気持ちがあれば、人は繋がるのだと思います。まずは自分の「またこの人に会いたい」という気持ちに正直になり、また出会った人に「また会いたい」と思ってもらえるような思いやりのある配慮をしてみてください。

高校生に向けてメッセージ

”探究授業サポーター”のマガジンには様々な人が登場しています。こんな人と会いたいとと思って目的を持って探して出会う高校生もいると思いますし、何気なくこのマガジンに辿り着き、「こんな人もいるんだ」と思う高校生もいると思います。
私の記事はもちろん、様々な大人の世界を知って自分は「合う、合わない」「やってみたい、やってみたくない」など「自分だったら」という考えを常に持ってみてください。
この記事に辿り着いたみなさんは自分の興味・関心に真剣に向き合っている証拠です。あとちょっっと頑張れば 自分自身のやりたいこと、目指すものに出会えるかもしれません。頑張ってください。

探究授業サポーターマガジンはコチラ↓

取材後記

「総合的な探究の時間」は他教科のように先生から課せられたものだけに取り組むことだけでは本当の「探究」ではないように思う。
自分に正直になって興味・関心を見つけて取り組むことが、「探究」だと改めて感じることができた。
私の人生も日々探究。榊さんが言ったように、反省はしても後悔はしない人生を歩もうと思った取材でした。