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”恩送り”という幸せの循環のつくりかた

プロフィール

社会福祉士を職業としている一條仁さん

一條仁さんの note はコチラ▽

本コースの探究授業の記事はコチラ▽

はじめに

社会福祉士でありパラレルソーシャルワーカーの一條仁さん。”思いやりを広げる人を増やす。”そんな社会環境を目指して活動する一條さんのストーリーをご覧ください。

パラレルキャリアって?
”複業”のこと。"副業"との違いは、ボランティアやNPOの参加など、金銭が発生しないこと。そして自分の将来に向けた自己投資(スキルアップ)の活動であるということでした。

仕事・取り組みのきっかけ

私が福祉という道に踏み入ったきっかけはホームレスの方との出会いでした。あるとき道を歩いていたら60代くらいのホームレスの方に「100円をください。」とお願いをされました。理由を聞くとお腹が減っていて、おにぎりを買うためでした。私はその方と一緒におにぎりを買いに行きました。その後その方のことが気になり、一緒にご飯を食べながら、少しお話を聞くことにしました。
話を聞いていくとその方は、働いていた会社から雇い止めを受けてしまったそうです。その後年金を受給できる年齢になったものの、年金を納めていなかったことがわかりました。そして住む家も追われ、とうとうホームレスになってしまったということでした。
私は年金の希求年数が引き下げになったことをたまたま知っていました。力になれればと思い私は、そのことをお伝えしました。その方はすぐに「役所に行ってみる」と言い、その場を後にしました。それ出来事以降、その方を同じ場所で見かけることはありませんでした。
もしかすると私が知っている情報を提供したことで、その人の人生が変わったのかもしれないと思い、自然と私の心が明るくなりました。
相手だけでなく自分も幸せな気持ちになる。そんな循環する社会になってほしいと思ったのが福祉の道を進みだしたはじまりです。

仕事・取り組みの内容
私はパラレルキャリアを歩んでいます。本職を持ちながら、他の取り組みもしています。現在私が行っていることは主に3つです。
周りの人のサポートをいただきながら、自分がしたいこと、自分らしくいられる活動をしています。

(1)障がい者雇用専門人事
本職は事業会社で障がい者雇用専門人事をしております。以前の私は障害のある方は特別だという考え、私が助けなければという思いが強かったと思います。
しかし障がいがある、障がいがないで考えるのではなく、働きやすい環境を支援できるような場所づくりが大切だと考え、その環境を作れるよう日々取り組んでいます。

(2)ペイフォワードカフェ
「やさしさが溢れる場所から やさしさに溢れるまちへ」を掲げ、ペイフォワードカフェを運営しています。
今年も第7回を実施させていただきました。ペイフォワードカフェを主軸としながらも、テーマは開催ごとに変えています。今回のテーマは『応援る』としました。聖光学院の進学探究コースの皆さんにも登壇して頂き、今活動している探究活動を発表していただきました。高校生の挑戦をみんなで共有しながら応援する環境をつくりました。

ペイフォワードカフェは幸せが循環するカフェ。あなたが飲むコーヒーのお代は前のお客さんからのギフトとなっています。受け取ったギフトを次の来店者へ。お客さんがつなげるギフト。”恩送り”の循環が広がっていく環境づくりを行っています。

ペイフォワードカフェの説明

(3)ふくしまソーシャルワークラボ
福島の社会福祉士事務所です。主に福祉に関わる講演・研修を小学生から社会人に向けて行っています。いかに地域社会に還元して行くか、真剣に考えて活動しています。

本コースにも来校頂き、授業をして頂きました。

高校の「探究」についてどう思うか

探究はとても良い時間だと思います。テストの点数を取るために決められたたった1つの答えを出すのではなく、答えのないもの対して、自分なりの答えに導くことができます。
また探究を通して、たくさんの人と出会い様々な体験と経験ができると思います。それらは教科書からは決して学ぶことはできません。高校生のうちから大人と何か一緒に活動することはとても貴重な体験です。その時間を大切にしてほしいです。

ペイフォワードカフェ運営の様子(2022年)

高校で「探究」の授業があったらどういう人に出会いたいか

自分と近い存在と出会いたいです。例えば大学生だったり、福島県出身だったり、共通の好きなことをしている人です。
なるべく飾ることのない等身大の大人。自分の未来を楽しく想像させてくれる大人に出会いたいです。皆さんはその環境があるわけですから、勇気を持ってでぜひ行動してみてください。

第7回ペイフォワードカフェ(2023年)

高校生に戻ったとしてチャレンジしたいこと

先生と一緒に何かすることにチャレンジしたいです。実は高校生のみなさんと同じように、先生も社会を知らないです。
先生は大学卒業してそのまま学校で働くのが普通です。実は学校の先生は学校という枠から出たことがなく、社会を知らない人が多いです。
探究は先生、生徒関係なく社会を違った角度で見れる場だと思います。まずは先生という大人を巻き込んで、私にとっても先生にとっても楽しいチャレンジをしてみたいです。
先生と生徒という関係ではんく、新しいことをを一緒に学ぶ関係性がつくれたらと思っています。皆さんもまず迷ったら、先生を巻き込み、行動範囲を広げて、様々なところに飛び込んでみてはいかがでしょうか。

エールピッチ登壇の様子(2023年)

進路選択で大切なこと

自分の感性に従って、自分が自分らしくいられる選択をすることが大切だと思います。つまるところ、やってみないと分かんないことがほとんどです。
本当に自分が向いてることは何だろうと考えるよりも自分って今、何を大切にしているのだろうと考え、自分の理解を深めた上で進路選択することが大切だと思います。
自分をどんどん掘り下げていって自己理解をしていく。自分らしくいられる選択、皆さんの探究の時間は自分探しの旅ができる時間でもあると思います。

つながりはどんなところから生まれると思うか

まずはやってみることです。自分の興味関心に目を向け、実際に行動することで自然とつながると思います。
見てくれてる人は必ずいます。同じ興味関心があっても踏み出すきっかけが欲しかったり、自分の考えに近い人たちがどのくらいいるのかを不安に思い、踏み出すきっかけがない人がたくさんいます。まずは行動してその人達のきっかけを自ら生み出すことが大切だと思います。与えられる立場から、与える側の立場になってみませんか。

手話部にも当日お手伝い頂きました。

高校生に向けてのメッセージ

もっと周りの大人たちを頼ってください。大人たちと関わることときっと気づくはずです。自分が今幸せにいられるのは周りの人のおかげということを。そうすれば当たり前に感謝が生まれ、自分は今何をしなければいけないのかという自分探しのスタート地点に立てるのではないでしょうか。
感謝を実感できれば、日々の行動も変わるはず。学校は安心して挑戦と失敗を繰り返せる場所です。いや、失敗なんてものはありません。それは皆さんにとってかけがえのない経験値となるからです。
行動することは怖いですし、失敗するかもという不安もあると思います。しかし今までの自分の枠から1歩足を外に踏み出し、新しいチャレンジをしてみてください。学生という最強の時期を大事にしてほしいです。

取材後記

私も大人と多く関わることで、自分が今幸せに暮らせているのは周りの人のおかげだということを、取材を通して再確認できた。
自分らしくること。まだ具体的に定まっていないが、日々の活動を通してその解像度を上げていきたい。高校1年生から始めたカメラの世界。今回も第7回ペイフォワードカフェにスタッフとして参加し、お客さんやスタッフと接することによって、また解像度をあげられた気がする。高校2年生もあと半年。自分らしさを求めて周りの人に感謝をしながら、日々取材と探究をし続けていきたい。

今回私はペイフォワードカフェの撮影担当として参加しました。