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聖光ファーム2021(概要編)

2022年度の進学探究コースの探究の時間を利用して農作物の栽培を行うことを計画しており、2021年度から試験的な農作物の栽培に着手しました。農作物を探究の時間のテーマとした理由は以下の通りです。

1.農作物の育て方を学ぶ
2.農業という固定観念からの脱却
3.今の時代を生き抜く人間の育成

1.農作物の育て方を学ぶ

全国で3番目という広大な面積を誇る福島。この特色を活かし、福島県は様々な農作物を育てています。

聖光学院高校の周りにも広大な田んぼが広がっています。

田んぼ

また伊達の地は桃の産地。「あかつき」という品種は献上品として有名です。

生徒達にとってはいつもの通学路。当たり前にある風景です。しかし当たり前になってしまうと、その風景の美しさや素晴らしさにを無意識のうちに見逃してしまいます。
農作物と育てることを通してもう一度、地域にある素晴らしいものを意識化することを目指しています。

桃のきの景色

ももの花

                          桃の果樹の風景と桃の花

2.農業という固定観念からの脱却

皆さんは「農業」と聞くとどのようなイメージをお持ちですか?
農業は3K(キツイ、汚い、危険)と言われていました。また農業をやりたい人は自分の農地を持っていて、農業高校に行く、そして大学は農学部に行かなければなれないという固定観念がありました。
私は農業には「見えない高い壁」があるのではないかと感じました。そして今は昔と世の中が日々大きく変わっているのに、農業の知識や考え方は昔のままなのではないかと恥ずかしく思いました。
本来農業は普段の生活に密接に関係していなければなりません。「食」という人間が当たり前に行なっていることなのに、何も知らないという矛盾を抱えながら、生活している違和感。その原因は、興味・関心の欠如なのではないかと考えました。まずは固定観念を捨てて、知ってみる。私も知ってみて初めて農業という分野の魅力を知り、様々な取り組みが生まれていることを知りました。

                           スマート農業について

人間は興味・関心があるものにしか目が向きません。私は農業を通して、生徒たちに、新しい視野を広げる一つの仕掛けとして、農業という地域に根付いた教材を最大限使っていこうと生徒の学びにつなげようと思いました。

3.今の時代を生き抜く人間の育成

とても壮大なテーマを掲げてしまいましたが、農業を通して生徒に伝えたい一番の思いがココにあります。
皆さんは「作付け表」というのをご存知でしょうか。農家の方なら当たり前に知っていることですが、私も最近知りました。
簡単に説明すると1年を通して、どの畑にどの種を植えて、いつ収穫をするのかを計画する表です。これによって農家の皆さんは1年の動きを明確にし、計画的に農作業ができます。また野菜の収穫時期を視覚することで、野菜の売り込みにも役立ちます。
これは、自分の未来の夢(種)をどう達成(収穫)するかの計画的な行動表と似ています。「作付け表」を通して、自分の「未来の計画表」を作成できる人間に成長してほしいと思っています。
また、どんなに丹精込めて作成しても、それが実を結ばないことがあります。それは病気や自然災害、気候変動によってです。人間にはどうすることもできない理不尽な失敗を農家の方々は常にしています。
これは今の現代社会の状況の縮図ではないかと考えています。人間ではどうすることもできない問題と真摯に向き合い、最適解・納得解を見つけ日々闘っている農家の方々。そんな農家の皆様の考え方を通して、どんな世の中になったとしてもその状況や環境に合わせた自分の考える幸せに向かうことができる心の育成を図っていきたいと考えています。

                          2021年霜による桃被害

                      2022年大雪による野ネズミ被害

まだまだ始まったばかりの聖光学院の探究の時間。私自身もこれが正解かはわかりませんが、生徒と一緒に成解を導き出せたらと思っています。