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農業の魅力に魅了された元ホテルマンが追求する食の旅

プロフィール

伊達市梁川町で農業を営んでいる菅野雄一さん

はじめに

「食べることは生きるということ」を理念に伊達市梁川町でイタリア野菜を作っている”kumand-くまんど”の菅野雄一さん。「食」・「野菜」を通して幸せを届けている菅野さんのストーリーを是非ご覧ください。

雄一さんの畑で採れた野菜達

仕事・取り組みのきっかけ

飲食業界に従事し、イタリア料理に出会い、魅力に気づいたのがきっかけです。高校卒業後、漠然と「食」の道に進みたいと思い、ホテルマンやレストランで飲食業界のサービス業として15年間携わってきました。様々な経験をしていく中でイタリア料理に辿り着きました。
イタリア料理は生産者と料理人との距離が近く、必要な野菜、量だけ取り寄せて尚且つ、その土地でとれたものを無駄なく使い切ります。
その文化に惚れ込み、イタリア野菜にも興味を持ち、だったらその野菜を自分で育ててみたいと思ったのがきっかけです。

仕事・取り組みの内容

伊達市梁川町の野菜屋「kumado-くまんど」です。くまんどは「熊野神社のとなり」という意味です。季節やこの伊達市の土地で楽しめるイタリア野菜を栽培しています。その野菜をレストランや道の駅さんに卸しています。また、人と話すことがとても好きなので「パーラーくまんど」というPodcast(ポッドキャスト)ラジオを定期的に収録し、発信しています。

Podcast(ポッドキャスト)ラジオって?
インターネットを通じて配信される音声番組のこと、あるいは仕組み。自分の好きな番組を好きなタイミングで聞くことができる。

(1)農業について
野菜が料理なってお客さんの口に運ばれるまでの流れを逆算しながら、野菜を作っています。お客様に楽しんで食べてもらうことをイメージしながら、丹精込めて育てています。

〜雄一さんが育てているイタリア野菜の一部をご紹介〜

・カーボロネロ
寒い時期の12月〜3月が旬でイタリアのトスカーナ地方というところを原産とするケールの一種です。または黒キャベツとも言います。やや苦味が強く、煮込み料理などに使われています。


ケール
地中海沿岸が原産で苦味が強く、サラダに使用されます。

・わさび菜
イタリア野菜以外にも九州の在来種「からし菜」から生まれた「わさび菜」を作っています。ピリッとした辛みが特徴です。

また、雄一さんはイタリア料理を気軽に食べてほしいという思いから、自分が育てたイタリア野菜をブランド化をしていません。
イタリア料理は本来、郷土料理でおばあちゃんやおかあさんの家庭の味なのです。イタリアの野菜を身近に感じ、食べていてほしい。たまに「珍しい野菜だね」と興味を持って買ってもらうくらいが丁度いい。そんな雄一さんの言葉1つ1つに愛を感じました。

〜雄一さんの野菜を味わえる料理店はこちら〜

気になったinstagramをチェック▽

Trattoria da Martino(国見町)

こおり地産洋食店 メルバ(桑折町)

もくれん(桑折町)

TRATTORIA La Wasabi(伊達市)

オステリア デッレ ジョイエ(福島市)

Aoyagi(福島市)

食堂ヒトト(福島市)

(2)パーラーくまんどについて
Podcast(ポッドキャスト)ラジオで「パーラーくまんど」を配信しています。
『「食べること」はみんな一生かかわる大切なことです! 食を中心に音楽やアートの話題で(心を)耕す…がコンセプト。ゲストをお迎えして人の活動や魅力をお伝えします。』
私は人の話にとても興味があります。コミュニケーションを通してに新しいアイディアが生まれ、ゲストごとに織りなす空間を楽しんでいます。

「パーラーくまんど」は"Apple Podcast""Spotify"などで配信を聴くことができます。

探究についてどう思うか

とても良い時間だなと思います。一度、私は聖光学院さんの「探究」の授業でお話をさせていただきました。その時は自分ではあまり授業の手応えは感じていませんでしたが、"興味"や"知りたい"を自分なりに見つけて、こうしてまた話を聞きたいと熱意を持って来てくれる生徒さんがいることがとても嬉しいです。
「探究」はそういった興味や好き、やりたいと出会ったり、見つけたりできます。そしてそこから熱意が生まれ、行動へと導いてくれる時間だと思うので大事にしてほしい時間です。

本校の探究の時間で授業をしてくださいました。

高校生で「探究」の授業があったらどういう人に出会いたいか

高校時代に今お付き合いのあるシェフと出会えたら良かったと思います。作物をつくり、運ぶ。それを料理に変え、お客さまに喜んでいただく場所を提供する。その一連の流れは一見、区切られていて違う仕事のように思えますが、根っこにある目的は”お客様に喜んで頂くこと”です。
私がまだ料理をお出しするサービス側のとき、知識が浅く、ただマニュアル通りに仕事をすることになんの意味も見出せず、悩んでいた時期がありました。
しかしあるときのシェフが「一つの仕事で見るんじゃない。お客様に提供するまで全てはみんなつながっているんだよ。」と教えてくれました。そこから今も人との導線、つながりを大事にして仕事をしています。
人生においてとても大事なことだと思うので、それを高校生のうちに知っておけば良かったと思っています。

高校生に戻れたとしてチャレンジしたいこと

シェフと共同で料理を作ることにチャレンジしたいです。「食」について学ぶことはもちろん、料理を一緒に作り、シェフの作る姿を間近で見ることで何かを感じ取りたいです。
大人と高校生との見える世界は違うと思うので、高校生のときに見える景色はどう見えたのだろうという興味があります。もし高校生にそのチャレンジができていれば、料理や食に対する思いが変わっているかもしれません。

進路選択で大切なこと

私が学生の頃は就職氷河期と言われて、今と比べると選択肢が狭い環境でした。しかし今こうやって好きなこと、やりたいことに出会って仕事ができている自分がいます。
選択はもちろん大事ですが、選択した道の先がもっと大事です。選択した道が自分の思っていたのにものと違ったとしても、その道から何を学び、どう楽しむのか。そのことさえわかっていれば、どんな道を選択したとしても、それはあなたにとって後悔のない道となるでしょう。

就職氷河期って?
就職氷河期は、バブル崩壊後、景気の悪化に就職が難しくなった時期。1993年から2005年に学校卒業・就職活動していた年代を就職氷河期世代という。

つながりはどんなところに生まれると思うか

つながりは興味から生まれると思います。私は人の自分と違う考え方や知らない世界に興味を常に持っています。その世界を知りたいという探究心からつながりが生まれることが多いです。
話すことが苦手な人もいるかもしれません。でも大丈夫です。自分のことを伝えることも大事ですが、相手の話をよく聞けることの方が実はとても大事です。
話を聞いたこを1度自分に落とし込むことで、さらに相手に対する興味が生まれ、そこにコミュニケーションが生まれるはずです。その先にその人とのつながりがいつの間にか生まれていると思います。

高校生に向けてメッセージ

この記事を読んだ後、自分の地域のレストランや食堂にもう一度目を向けてください。人は美味しいものを食べてる時が1番幸せを感じることができます。そして食べることでその土地や文化、季節を感じることができるのです。
また食事を介してコミュニケーションをとることにより、家族や社会とのつながりもより一層強くなると思います。
「食」の世界には"マリアージュ"という言葉があります。フランス語で「結婚」という意味です。例えばお酒と料理。美味しさが掛け合わさることで、何倍にもなるという意味です。それは人や興味にも同じことが言えるのではないでしょうか。自分の興味に出会えるよう、探究心を持って行動してみてください。

取材後記

「食」や「野菜」について熱く、本気で話してくれた菅野さん。その熱い想いが、火となり、お客様に届くまでの導線へとつながっているのだなと感じた取材だった。私もこれから自分の"マリアージュ"となるモノやコトと出会い、人を幸せにする行動につなげていきたい。

熊野神社前にて


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