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農業と向き合った先に見えた幸せの"カタチ"

プロフィール

Berry's Garden 代表の景井愛実さん

リトリート農園の経営

直接農園に訪れ、非日常と四季を堪能する

タンキュウブで摘果のお手伝い

桃の生育状況を学んでいます。

はじめに

果樹農家に嫁ぎ、農業のお手伝いを通して「畑の魅力」を感じたBerry’ s Garden代表の景井愛実さん。魅力を共有したいという想いと同時に農業の課題がたくさん見え、その解決に向けて活動している愛実さん。一瞬を大切するストーリー、どうぞご覧ください。

仕事・取り組みのきっかけ

元々はアパレル・化粧品販売のお仕事をしていました。夫との結婚をきっかけに、実家である果樹農家に嫁いだことが農業との出会いです。
農業のお手伝いを通して、自分の中で気づきが生まれました。
高校生のみなさんは「畑」と聞いてどんなイメージを持つでしょう?農業に携わる前の私は汚いや危険というイメージでした。しかし実際お手伝いをしてみると、木の高さや畑の世界観が"可愛い"と純粋に感動したことを覚えています。その時の景色や光景は一瞬一瞬で二度と見ることができず、尊いものです。感動したあの瞬間の景色を私は多くの方と共有したいと思ったのが今の仕事を取り組むきっかけとなりました。
農業を自分ごとで捉えたとき、課題が山積みであることに気づきました。例えば担い手不足や 耕作放棄地の問題 、そしてフードロスという課題です。農産物はたくさん美味しいものが自然にできることはありません。スーパーなどで普通に売られていることで、特別が当たり前と感じているのです。
当たり前を特別と感じてもらうには農業という職業を広く知ってもらうしかない。そう考え、現在の活動にいたっています。

商品にならない果物達が土に還る光景

仕事・取り組みの内容

「農業」と聞くと農作物を育てて出荷。というイメージなのではないでょうか。「農業」は言葉1つで一括りにできないくらい幅が広く、たくさんの可能性をもっているお仕事です。
私は桃の生産と県産果物を活用した商品の企画販売やブランドの設立、情報発信によるマーケティング、PR活動を行っています。
生産の分野では、桃をただ生産して販売するだけでなく、たくさんの方に桃畑に来てもらえるような"リトリート農園"を行っています。
加工分野では、”六次化商品”の開発・販売を行っています。傷物や規格外で捨てられてしまう果物の現状を知り、新しい価値へと生まれ変わらせることができないかという視点があったことで、加工品の企画販売にもチャレンジしました。
PR・マーケティング・プロモーション分野では、たくさんの人に食べてもらう、知ってもらうために飲食店さんと連携してレシピの開発やマルシェなどの出展を行っています。またSNSを使ったプロモーション活動も積極的に行い、県内外に福島の果物を広める活動を行っています。

リトリートって?
日常から離れた環境に身を置き、非日常の癒しを感じたり、楽しむ体験のこと。
六次化商品って?
農業者(1次産業)が、農畜産物の生産だけでなく、製造・加工(2次産業)やサービス業・販売(3次産業)にも取り組むことで、生産物の価値をさらに高め、農業所得の向上を目指す取り組みのこと。

「農業」という言葉では一括りにできないほどの沢山の活動を行っている景井さん

高校の「探究」についてどう思うか

これからの人生を歩んでいく中で、とても良い時間だなと思います。実際大人になって、そのような時間をつくることは作ろうと思ってもなかなかできません。
「なぜ」という言葉に人は動かされます。「なぜ」をいろんな視点や角度で見るということを探究の授業で実施していることがとても良いと思います。
また地域課題に向き合う時間もとても良いと思いました。地域課題に向き合うことで意外と近くにあったけれども、自分が今まで気づくことのできなった当たり前の中の疑問を発見することできます。高校生の皆さんの柔らかい思考で考え、チャレンジしていける環境がすばらしいと思いました。

もし高校生のときに「探究」の授業があったらどういう人に出会いたいか

本質的なことを大事に教えてくれる大人に出会いたいなと思います。少し抽象的な言葉になってしまいましたが、ジャンルにとらわれることなく、自分の仕事に誇りをもち、自分の価値観を大事にしている大人達にたくさん出会い、その仕事をなぜ行っているのか、その仕事で何を大事にしているのかを高校生のうちに聞いてみたいなと思っています。そう考えると、この取材のようなことを私も高校時代にしたかったなぁと思います。
そんな大人達に高校生のうちに出会うことで、自分の視野が広がると思います。そのことを通して、徐々に自分の揺るがない、自分の人生でとても大事な軸が高校生のうちから見つかるかもしれません。

もし高校生のときに「探究」があったらどんなことにチャレンジしたいか

英語の勉強や異文化交流にチャレンジしたいです。
国によって文化や伝統、生活が異なります。それを高校生のうちに知ることで、物事の視点や考え方、捉え方を広くすることができます。
他国の言語を学ぶだけなく、世界の人とパッションで交流し、グローバルな視点をを持つことによって、世界にもっと福島の魅力を伝えられるのではと思っています。

進路選択で大切なこと

VUCA時代と言われている現代社会。大人でもこれからの人生、どうしていくか悩んでいる方はたくさんいます。
その中で1番大事なことはその一瞬一瞬で「こうだ」ということを全力でやりきることだと思います。不安は未来にしかありません。1度しかない高校生活。1日1日をなんとなく生活するのではなく、全力で駆け抜けて欲しいと思います。
全力で1日1日を積み重ねて後、進路を考えた時に自分を振り返ってみてください。振り返るとは自分を細分化すること。自分が嫌なことってなんだろう、好きでやってきたことってなんだろうと自分の様々な要素に分解してあげて、それを組み合わせていけば、本当にやりたいことが見えてくるのではないでしょうか。
どんな進路を選んでも間違いはありません。自分で考えた上で出した進路なら後悔することはないです。自分自身の人生。人に決められた人生よりも、自分と向き合い、問い続けた先で決めた人生の方が楽しいと思いませんか。

つながりはどんなところから生まれると思うか

モノでもヒトでも、何かに興味や関心をもつことがつながりには重要だと思います。常に興味や関心のアンテナを立てておくこと、そうすると今までたどり着くことがなかった人に目を向けることができます。興味や関心のアンテナさえあれば、今はスマホひとつでたくさん人の発信を見ることができます。
しかしそこで終わってはいけません。知識の幅を広げるために、自らアクションを起こしましょう。アクションを起こすことで知識だけでなく、つながりが生まれます。
また1人の意見だけを聞くのでなく、その分野に精通しているより多くの人の話を聞くことができれば、つながりの輪はもっと大きく広がり、更に新たな世界へ皆さんを連れて行ってくれると思います。

景井さんは農園でたくさんのつながりを育てています。

高校生に向けてメッセージ

何事にもチャレンジしてみてください。失敗はありません。なぜなら、自分が失敗だと思わなければそれは失敗でないからです。もちろん、チャレンジしていくなかで大変、辛いと思う瞬間はあるかもしれません。
しかしその先に、見える景色は今まで見たことない素晴らしい景色かもしれないのです。やって失敗するよりもやらない後悔の方が一生残り続けます。
見えた景色は思ったよりも大したことがないかもしれません。でもそう思えるのは、チャレンジをした人だけです。チャレンジをした景色の先に、更に辿り着きたい新しい場所が見え、そこに行ってみたいという気持ちがまた芽生えるかもしれません。

取材後記

一瞬一瞬の積み重ねで今や未来がやってくる。取材を通してその一瞬一瞬が大切なものだと改めて気づくことができた。
一瞬をどう次につなげるかは自分次第。「失敗」という言葉があるが、それは「経験」とは読めないだろうか。これからも経験値をたくさん積み、挑戦し続けることが大切だと胸に刻んだ1日となりました。