学生が挑戦する「やりたい!」をサポートするSFFって?
プロフィール
はじめに
「教育の力を社会全体で創造し、地方から日本全土へインパクトを起こす。」という思いで活動する立教大学コミュニティ福祉学部コミュニティ政策学科に通う大学生。そして一般社団法人Spread From Fukushima (SFF)代表理事でもある紺野陽奈さん。学生の「やりたい!」を福島から全国に届ける紺野さんのストーリーをぜひご覧ください。
仕事・取り組みのきっかけ
福島に”わくわく”したのがきっかけです。SFF(Spread From Fukushima)は福島のマイナスをプラスにしたい、そんな想いをもった当時の大学生が立ち上げた団体です。関東での大学生活の中で震災で生まれてしまった福島のマイナスなイメージを払拭したいという想いから2020年に大学生コミュニティとして立ち上がりました。
私はそのとき高校生。プロジェクトの1つにクラウドファンディングを行い、福島の県産品を日本全国へ届け、今の福島を知ってもらうというプロジェクトに参加していた友達のSNSを見て、福島に対して”わくわく”しておもしろい団体だなと思い代表のアカウントをフォローしました。「応援しています」というメッセージを送ると、「陽奈さんも一緒にやってみませんか?」というメッセージを頂き、それがきっかけにSFFに入りました。
「こんな大人になりたい」と思って大学生の真似をして行動した結果、総合型選抜でその功績が認められ、目標としていた立教大学に入学することができました。
私を成長させてくれたSFF、「だったら今度は自分が学生たちに"give"する立場になりたい」という思いからSFFの二代目代表理事になり、現在に至ります。
取り組みの内容
私が運営しているSFF(Spread From Fukushima)という団体は福島県内最大級の学生コミュニティです。学生の「やりたい!」に挑戦できる環境を創るをミッションにおよそ70名の高校生・大学生を中心に活動し、総勢600名以上の学生を巻き込みました。
また自治体・企業・社会団体との連携やパートナーシップを組み、学生の「やりたい」をプロジェクト化することで学校外の学びやつながりを提供しています。
プロジェクト事例
①郡山市飲食店総選挙2021
「福島県を盛り上げたい!」と考える高校生発案によるプロジェクトです。福島の学生700名から「あなたのおすすめする福島の飲食店はどこですか?」というアンケート調査を行い、お店の方の「想い」や「食」をマップ化しました。郡山市の魅力を再発見することを目的に活動しました。
②フクバトンフェス2023
「コロナで失われた青春を取り戻したい。」という想いから学生220名が集う地域参加型「学校の制約のない体育祭」をSFF主催×郡山市共催で開催しました。開催するあたってクラウドファンディングを行い、全国の方から応援をいただいて目標金額を達成することができました。「ワクワクを感じている先に、それがいつの間にか、誰かのために繋がっている。」の価値観を大事に学生と地域が一体となり、刺激し合い、応援し合える体育祭となりました。
探究についてどう思うか
チャンスを掴める時間だと思います。教室を飛び出し、大人と関わることで社会を知り、自分を知り、人として成長させてくれるのが「探究」です。
探究で大事なことは"素直さ"と"謙虚さ"だと思います。活動の中で気づきやアドバイスに対して「でも」「いや」など言い訳をしたり、否定的な言葉を使いたくなるときがあるかもしれません。しかしそれは自分の可能性を閉ざしてしまうことにも繋がります。まずは新しいことを一度受け止め、まずは純粋に行動してみることがとても大事です。探究の時間をフルに使って、自分をよりよく成長させてくれる場としてください。
高校生で「探究」の授業があったらどういう人に出会いたいか
年齢関係なく尊敬できる大人に出会いたいです。皆さんも目にみえる数値(例えばテストの点数や通知表)で自分を見られたことはありませんか。その価値観だけで、周りの人から否定的な言葉を言われたりすることもあるかもしれません。私も進路に関してはまさにそうでした。
しかし、高校生の私を振り返るとSFFの大学生のみなさんが私の数値では測ることができない、一人の個として私自身を認めてくれて、応援してくれる人たちばかりでした。そんな人たちの存在があったからこそ、何事もやり抜くことができ、目標としていた大学にも通うことができました。だから今の私がいます。そしてその恩を今度は高校生に返していこうとも思っています。肯定してくれる人、応援してくれる人、そんな大人に高校時代もっと出会えたらと思います。
高校生に戻れたとしてチャレンジしたいこと
高校生のうちに起業することにチャレンジしたいです。今では中学生や高校生など年齢関係なく起業できる時代です。しかし、学生だけの力だけでは難しいことやわからないことが沢山あります。周囲の協力も必要です。
想いや熱意を大人たちに積極的に行動して出会い、想いを言葉にして伝えて応援してもらい、大人の方々の力を借りながら高校生起業家になりたいです。
「自分には無理」と考える高校生もいるでしょう。もちろんそうです。1人でできることには限界があります。得意や不得意は誰でもあります。だから自分がやりたいことを発信し、行動し、その熱意に呼応してくれる仲間を作るのです。応援してくれる大人や助けてくれる周囲の力を存分に借りましょう。
高校生ができること、大人ができること。やっかいな問題はみんなで解く。高校生と大人が年齢関係なく協力できる。そんなチームが出来上がれば最強です。
進路選択で大切なこと
振り返ることがとても大切です。振り返ることで自分の足あとを見つめ直すことができ、それが経験となります。自分を振り返る時間をしっかりと持つことで、自分自身と向き合う時間が増え、その中から自分の好きが見つかります。「これが楽しくて、好きだからこの道に進みたい」「この道に進むためにこれが必要」というふうに道筋が見えてきます。
カーナビで例えると目的地(目標)→方法(手段)→現在地(状況)が必要になっていきます。このようにどんどんつなげて連想していくことで自分の進みたい道筋が見えてくると思います。道は1つではありません。でも目的地を設定しなければ、どこに向かっているかわからなくなってしまいます。まずは見つめ直した経験から自分を深掘りして、自分を知ること、そしてしっかりと目的地を設定することが進路選択でとても大事なことだと思います。
つながりはどんなところに生まれると思うか
自分の意見や想いを伝えることでつながりは生まれると思います。自分の想いや熱意を言葉にして、伝えることで受け取った側に共感が生まれます。共感が生まれることで、感情と熱意の共有が生まれ、「この人とこれをやりたい」「この人とやったらおもしろそう」というふうに相手が自分とつながった先のイメージに生まれます。まずは自分に素直な意見や想いを言葉にし、発信してみましょう。
高校生に向けてメッセージ
社会がどう変わっていくかを自分なりでいいので考えてみてください。未来について向き合い、そのうえで自分はどう変化していかなけれならないかを考えるだけでも人生が大きく良い方向に変わると思います。
今は人生100年時代です。長く思えるような人生ですが、高校生にしかできないこともあります。1度しかない高校生活を謳歌し、人生を楽しみましょう。
また長い人生の中でたくさんの人と出会うと思います。その中で少しでも相手を思いやるような言動を心がけてください。「相手にこれをしたら喜ぶだろうな、嬉しいだろな」そんなことを考えて"give"することが巡り巡って豊かな人生につながると思っています。
取材後記
紺野さんは「SFFの大学生が認めてくれて、応援してくれたからこそ進路実現ができた」と話してくれた。
2年生から「高校生と大人がつながるコミュニティづくり」をテーマに探究活動を始めてまもなく1年が経つ。この探究活動を通してたくさんの大人と関わってきた。自分の考え方を変えてくれたカッコいい大人達に「恩返し」のつもりで始めた探究活動であったが、思い返せば私の探究テーマに時間をわざわざ割いてくださり、大人たちが私に本気で向き合ってくれて、応援してくれた1年だった。だからこそ、今の「探究」があって自分がいる。そのことを胸に刻んで私も進路実現に向けて前に進んでいこうと思う。