福島の未来に向けた取り組みを目指して
プロフィール
TEA&THINGSのnoteはコチラ↓
はじめに
地域を知ってもらい、地域とつながる取り組みをしている"株式会社Kokage"の大島草太さん。ハーブティブランド"TEA AND THINGS"では大学生と高校生と共同開発をし、福島に代表とされ、残り続けるハーブティを目指している大島さんのストーリーをぜひご覧ください。
仕事・取り組みのきっかけ
私は高校生のとき、小学校の先生になりたいと思っていました。これからの未来を担っていく子供達の大切な時間に関わり、様々なことを教えていければ良いなと思っていたからです。
私の出身は栃木県宇都宮市なのですが、先生になるべく、福島大学人間発達科学類に入学しました。これが福島との初めての出会いでした。
大学1年生のとき、まさに探究のような「川内村の課題を見つけて何ができるか。」を学生が考えるフィールドワーク(むらの大学)に参加しました。
私は福島のことをあまり知らなかったので、震災を経験をして、1度人口がゼロになった地域の人たちはどんな暮らしをしているのかという興味と落ち込んでいるというイメージがあったので、何かしら力になりたいと思っていました。
しかし私が想像していたイメージと逆に、川内村のみなさんは楽しく、これから自分たちが村をつくっていくだという熱い大人たちばかりでした。
私が高校生のとき、電車で通勤している大人たちはどこか疲れていそうな人たちの姿を見ていてたので川内村の大人たちを見てびっくりしたと同時に「かっこいいな」と感じ、自分もそんな大人になりたい思いました。
親が料理人ということもあり「食」で川内村を盛り上げたいと想いが芽生え、大学3年生からカナダで1年間、料理の勉強をしに行きました。
カナダでの衝撃は今でも忘れません。現地で交流いた海外の方の中には、原発事故のイメージから福島を過大に恐れ、非難する方もいました。幾度となく悲しい気持ちになりましたが、より「食」で「福島のイメージをひっくり返したい」という原動力へと変わるきっかけとなりました。
川内村とは?
川内村は福島県双葉郡の中西部に位置し、豊かな自然に囲まれている地域。特産品は”そば”,”しみ餅”・”えごま”・”いわな”など。
仕事・取り組みの内容
キッチンカーで"そば粉ワッフル"を販売しています。川内村では"蕎麦"が有名です。私が蕎麦作りを必死で修行したとしても、1番にはなれない。だったら誰もやっていないことをやってみよう、それがきっかけで、”そば粉"と"ワッフル"を掛け合わせた”そば粉ワッフル”が生まれました。また川内村を広く知ってもらうために、店舗を持たず、キッチンカーとというスタイルにしました。
活動をしていく中で、地域で使われていないものを上手に利用し、魅力あるものに変えることができないかという考えるようになりました。
その中で傷や規格外の果物は農家さんが同じく愛情を込めて育てているのに、価値がなくなってしまうということを知りました。
最初はキッチンカーでワッフルのソースとして提供していました。アップサイクルをすれば、無価値のものを価値あるものに変えられると気づき、継続的に規格外の果物を使用した商品を販売できないかと考えるようになりました。
そんな中、フードロスの課題と向き合っている大学生や高校生と出会い、「一緒にやりましょう」という力強い言葉を頂き、”TEA &THINGS(ティーアンドシィングス)”が誕生しました。
”TEA AND THINGS"では「人を想う」をコンセプトにしています。福島県のアップサイクルされたお茶を通して、特別な時間を過ごしてほしいという想い、そして世界からの福島のイメージをひっくり返す野望を持ちながら取り組んでいます。
高校の「探究」についてどう思うか
私が高校生のときは「探究」の授業はなく、地域の人たちと関わるという機会もありませんでした。私の繋がりといえば、学校・塾・家くらいです。
探究の授業は今まで全くつながりのなかった大人に直接会って一緒に活動することができ、ネットには載っていないような直接関わらなければわからないことを知る良さがあります。
私は社会人になって堂々と言えることがあります。それは皆さんが思っている以上に皆さんのために何かしたいと思っている大人たちがたくさんいるということです。
もし自分が教員という夢を追い続け、先生になっていたら「探究」の授業を率先して担当していたと思います。形は違えど、大学生と高校生と交流する機会を得ることができました。これからは私の20ヶ国以上旅をしてきた経験と出会ったたくさんの人と皆さんをつなげ、未来ある皆さんと関わっていければと思っています。
高校生に戻ったとして「探究」の授業があったらどういう人に出会いたいか
香りが好きなのでお茶に精通するの方や香水を扱っている人に会いたいと思います。学生だからこそ聞けることってたくさんあると思います。大人同士の場合、ビジネスやプライドが邪魔をして聞けないことが多々あります。
高校生、探究という授業をフルに活用してどんどん大人から吸収してほしいなと思います。高校生の皆さん、学生の特権を大事にしてくださいね。
高校生に戻ったとしてチャレンジしたいこと
今になって化学や生物のおもしろさがわかってきました。特に「食」という分野においてはとても重要な知識になります。
例えば「お茶の香りの成分を知りたい」ということを広く言えば、理科を勉強するということなんですよね。学生のうちはそれが分かりませんでした。
社会人となって改めて学ぶことの大切さを知りました。今の自分なら高校の勉強をもっと真剣に直向きにできたと思います。だって社会人となり学生より時間がなくても日々勉強しているのですから。大人になると様々なことをやらなければなりません。皆さんには勉強だけに集中できる高校時代を大切にしてほしいです。
進路選択で大切なこと
こんなことを言うのもおかしいかもしれませんが、あまり悩まずに一旦大学へ進学するのもありなのかなと思います。大学4年生になっても実は進路に悩んでいる人はたくさんいます。また勉強してきたことと全く違う道へと進む人も多くいるのです。
私は高校生のときは文系か理系ですごく悩み、結局理系に進みました。しかし文系の歴史が自分の中で面白くなって文転しました。教員になろうと思い、大学に入りましたが、そこで「食」に興味がわきました。そして現在、「食」には化学や生物がとても大事で面白さに目覚めています。
大学には入ると高校時代とはまた違った様々な大人、先生に出会うことができます。もちろん大学がすべてではありませんが、大学に入ると様々な考えを知ることができ、悩める幅が広がります。悩める幅が広がるということは選択の幅が広がるということです。それはとても贅沢なこと。悩みながら進み、1度しかない人生を後悔なく過ごしてほしいと思っています。
つながりはどんなところから生まれると思うか
ワクワクすることは大切なことです。私が小さい頃、家の周りに秘密基地を作っていました。自分が面白そうと思ったものを形にすることが好きでした。そんなワクワク表現することがつながりには大切だと感じます。自分がワクワクする方に突き進みそれを表現することによって、同じ温度でワクワクする、もしくはそれ以上の温度でワクワクをしている人とつながる機会が増えると思います。
そのつながりによって自分のワクワクはもっと面白いワクワクになり、それがまた新しいつながりへとなるのです。
つながりに性別や年齢は関係ありません。上下関係や規律があるからこそ成り立つものもありますが、ワクワクでつながることができれば、年齢の垣根を超えた新しい関わり方ができると思います。そんな関係性を高校生のうちに持てればとても幸せだと思います。
高校生に向けてメッセージ
とりあえず何事もトライしてみてください。学生のみなさんは学校で過ごす時間が決まっていて、人によっては部活や習い事もしていると思います。それは考えているようで実は日々の生活が作業になっていませんか。
自分も中学、高校のときは時が流れていくままに何も考えずに過ごしていました。自分が変わるきっかけとなったのが、大学で川内村に関わったことでした。このきっかけも最初はあまり深く考えてませんでした。しかし1つだけ言えることは、向かってきた出来事を苦手・得意に関係なくやってみるという行動でした。
その行動のおかげで、そこから川内村に1人でくるようになり今に至ります。チャンスはどこに転がっているか分かりません。自分で踏み出すのか、それともあっちからやってくるか。重要なことはどちらにしてもやってみようと行動することです。
高校生のみなさんは自分の感度を大事にしてください。自分の人生を変える出来事はどこからやってくるか分かりません。自分が少し面倒くさいなと思っているものこそ、とりあえず一歩飛び込む勇気と覚悟が大事だと思います。
取材後記
”つながり”には年齢も、性別も、国籍も関係ない。そう思っている大島さんだからこそ、地域をめぐる取り組みができていると思った。私も”TEA&THINGS”の取り組みで沢山のものを学んだ。
活動の中の大学生や大人達は高校生の私を一人の人間として接してくれた。この経験や体験はその人に返すことはできない。だから私も大人になり、学生と関わることがあった時、そのような環境を作ってあげたい。そんなことを気づかせてくれた取材でした。